第27章 愛を誓うB
「お前、それでもこのコンテストに出ようって覚悟があるんだな」
「……! あります……だって、だって……行かなくちゃ! 藍くんがくれた全てを、ここで出し切らないと……私を庇ってくれた彼に、合わせる顔がないから」
「……ふっ、いいじゃんその覚悟。案外お前って肝が据わってんだな。美風を連れていけば、コンテストは再開される。美風のことは気になるだろうが……思い切りやってこい。お前にしか、出来ないことだ」
「……はいっ!!」
舞台は整った。再びスポットライトが灯る、まるで何事もなかったかのように……。
背を押される、それがまるで「後悔するな」と言わんばかりに。
「ハプニングが多少ありましたがー、コンテストは再開ですっ!! では、エントリーナンバー五番から、いっちゃってちょうだーい!!」
「(わ、私から!!?)」
マイクを渡され、社長さんはにんまり笑みながら舞台上の真ん前へと行くように、私に指示を飛ばす。私はというと、緊張しながら前へと出ていく。
途端、どっと会場が沸く。どうしてだろう。
スポットライトは私を照らし、ドレスがキラキラと輝き出す。ぐっとマイクを握り締め、口を開いた。
「エントリーナンバー五番、星織天音です! えっと……」
手が震える、何を伝えたらいいのか、それをどう伝えればいいのか、わからないけど……思ってること、全部伝えられたら……いいな。
「私、パートナーである美風藍さんに声をかけてもらうまで……とても地味な女の子でした。地味すぎて、好きだった人にブスって言われて、振られちゃって。そんな私に手を差し伸べてくれたのが、彼でした」
どんな自分も、向き合ってみれば案外姿を変えていく。見ている方向を変えて、一歩前に踏み出すと違う明日が見えてくること。