第27章 愛を誓うB
「藍……くん」
至って冷静だった。何故か、恐ろしいくらい冷静だった。二度目の光景だからだろうか? あれ、どうして二度目だって……。
「何事だ!? っ……!!? 美風!?」
「カミュ! 救急車を、救急車をお願い!!」
「天音……! わかった、すぐ連絡してくる。待っておれ」
スタッフの人たちが次々とやってきて、タンカーで彼を運んでいく。なんだろう……私は、この光景を見たことがある?
「いっ……頭が、痛い……」
「天音! 大丈夫か!? 怪我はないか!?」
「翔くん……」
私が頭を押さえていると「頭が痛いのか!?」と慌てた様に、私の肩を抱いて舞台袖へと連れて行かれる。藍くんの傍にいたい……でも、私には一つ胸の内に秘めた、ある想いがあった。
「もうすぐ救急車が来る。貴様、同行するであろう?」
「……ううん、私は、行けない」
「天音?」
「今此処で、彼に着いていくことは簡単だけど、私……舞台から降りるわけにはいかない」
「何を言っているのだこの非常時に!」
「……カミュ、お前は美風に着いていけ。俺がこいつを見てる」
「蘭丸?」
蘭丸さんに手を引かれ、舞台裏へと引きずられる。嫌だ! ちょっと待って、私は……っ!!