• テキストサイズ

【うたプリ】足し算恋愛事情

第23章 シンデレラ



「大丈夫。今の天音なら、どこまでも行けるよ。自信、持って。信じて」

「ありがとう……藍くん。これが終わったら、皆でクリスマスパーティーしようね」

「そうだね」


 音楽が鳴り響く、コンサートが始まりを告げる。藍くんが不意に、私の頬に口付けを落とす。冷たい感触、けれど暖かい。藍くんの綺麗な顔が、視界いっぱいに入ったかと思えば……。


「見ていて、僕のことを」


 アイドルたちが、一斉に舞台上へ向かい駆け出す。藍くんも背を向け、スポットライトの下へと飛び出していく。

 沢山のアイドルたちが、メドレー式に歌いながらオープニングが始まる。


「ここにいたんですのね、星織さん」

「愛佳さん」


 愛佳さんが私の隣で、一緒に彼らの歌に酔いしれる。


「……天音さん。わたくし、絶対に貴方に負けませんわよ」

「愛佳さんっ!? 今、私の名前を……」

「そのドレス。かなり有名なブランドのものですわよ。それが何を意味するのか、貴方にわかります?」

「ご、ごめんなさい! わかり……ません」

「そのドレスの名前。教えてあげますわ」


 愛佳さんは、私の髪に一輪の白い薔薇を飾る。


「"シンデレラ" それがそのドレスの名前」

「シンデレラ……」


 彼らの舞台が終わる。ぐっと手を胸に、握りしめる。緊張を振り払うように、今までの自分を受け止めた上で。

 何もわからなかった、だから怖かった。

/ 202ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp