第23章 シンデレラ
「それよりも、貴様らそろそろ開演の時間だぞ」
会場はもう既に、満員に近い程お客さんが入っている。様々な事務所のアイドルが出るだけではなく、シャイニング事務所のアイドルたちも舞台に上がり歌う予定だからもあるらしい。そんな大舞台の前座として、このうたのプリンセスを目指す私たちのパフォーマンスが始まるんだ。
「なんか、緊張してきたかも」
「天音が緊張とは、これは本番がまずいな」
「カミュはやっぱり落ち着いているね」
「当然であろう? 俺には、逞しいペアが着いているからな。お前とて、そうではないのか?」
カミュの視線の方へ、私も視線を向ければいつも以上に自信たっぷりの藍くんのタキシード姿が映る。ただ、カミュとのツーショットを視界に入れるとたちまち不機嫌そうな表情で近づいてきた。
「二人して、何してるの?」
「二人ではない。勘違いするな、美風」
「カミュには色々とねぇ、あるからね。僕が天音の彼氏として、当然の心配をしただけ」
「ふんっ、愚民が」
カミュのその口癖、久しぶりに聞いた気がする。