第3章 Spring編 A
合宿場は早乙女学園別館B。別館はCまであり、ランダムでA、B、Cに振り分けられる。そしては私はBとなった。
先日、荷物と共にやってきたわけなのだが……いきなり合同顔合わせなどあり、沢山の人の前で自己紹介させられてまるで学校のようだった。一つ疑問なのが、特別講義で歌とダンスのレッスン以外の講義はなく、ペアのアイドルと共に切磋琢磨せよというなんという方針。
それでいいのか、うたのプリンセス様企画。
ふと、足元にごろごろと懐いてくる一匹の黒い猫。
「か、可愛い! どうしたの? 何処からきたんだろう……」
「にゃあ」
猫は一鳴きすると、中庭の木々が深い場所へと走っていく。一定のところまで走ると、こちらへと振り返る。
――もしかして、来いって言ってるのかな?
そんな馬鹿な……。そう思いながらも、私の足は猫の方へと走り出す。猫もまた走り出し、まるで私を何処かへと導くように、一定の距離を保ちながら走る。
うさぎを追いかける、アリスの気分だ。