第21章 この恋心不良品につき 番外編
Side Aika
うたのプリンセス様の舞台に向けて、ダンスの調整を加える。別に優勝したいという強い意志があるわけじゃありませんけど。わたくしには、どうしても勝ちたい相手がいますのよ。
「はぁ……この程度で、他の人たちに勝てるとは思えませんわね」
「レディはいつも、レッスン熱心だね」
「ん……? あら、神宮寺さん。御機嫌よう」
「やあ。ふふ、レディは毎日欠かさずここに通っているね……」
「授業で習ったことを、毎日復習しなくては身につきませんもの」
「あ、そういえばカミュを知らないかい?」
「知りませんわね。わたくし、あまり彼とはプライベートでは関わらないようにしていますの」
「へぇ? 変わってるね」
にっこり笑う神宮寺さん。本当に美しい方、佇まいも醸し出す空気も。タオルを拾い上げ、汗を拭うように頭から被る。