第20章 白銀の願い
「仕事とプライベートは分けたい主義なんだよね。あった、これだ」
「それにしても多いんじゃない?」
「これくらいしないとね、いつどこで誰が連絡先を嗅ぎ付けるかわかったもんじゃないんだよ。はい、早く携帯出して」
「はいはい」
本当にプロ意識高いなぁ、なんて思いながら連絡先を交換した。
「あれ? 雪が降ってきた」
頭上から降り始める雪。今が本当に冬なんだということを、私たちに教えてくれる。寒くて堪らないけど、こうして雪が見れるとやっぱり嬉しいもんだなぁ。
「雪って藍くんみたい」
「どこが? こんな水分の塊だとでも言いたいわけ?」
「ち、違うよ! いつも思うけど藍くんの発想ってなんかおかしい……」
「で? 僕のどこかがどう雪みたいなの?」
「藍くんってね、本当に手を握るとわかるんだけど体温が低いからなのか、手がひんやりしてて……でも安心するんだ。それで、気付いたら私は笑顔になっちゃうの」
「へぇ……」
「雪もね! 同じなんだよ。冷たくて、寒いけど、こうやって見ているとやっぱり嬉しくて笑顔にしてくれるんだ」
「……よくそんな恥ずかしいこと言えるよね。天音って」
「ええ!? い、言われてみれば確かに……」