第20章 白銀の願い
「何か考えてる?」
藍くんに顔を覗き込まれて、はっと我に返る。
「ううん、なんでもないの」
「ふぅん……それならいいけど。買い出しだっけ? イヴの当日じゃダメかな? 僕今から仕事だし」
「あ、それなら私一人で行ってくるよ。ほら、愛佳さんとか連れて」
「それならいいけど。出来るだけ一人で行かないようにね。ああ、それとイヴ当日も仕事入ってるから終わり次第集合でもいい?」
「藍くんって思ったけど、仕事熱心だよね」
「僕にとって、最重要優先事項は、仕事だからね」
いつの間にか仕事モードに切り替わっている藍くんがいた。そういえば、テレビで見る藍くんって本当に180度性格が違うんだよね。性格というか、キャラが。そう、キャラが。
「そうだ! 連絡先、交換しておこう? 入院してた時、藍くんと直接連絡取れなくて困ったから」
「ああ、それもそうだね。えっと……」
彼は手品でもするのだろうか?
そう思うほどに、大量の携帯をどこからか取り出した。なにこれ、物凄い量……芸能人が携帯を何個も持っているという話は、事実らしい。