• テキストサイズ

【うたプリ】足し算恋愛事情

第20章 白銀の願い



「……ありがとう」

「あんまり嬉しくない?」

「え、なんで?」

「視線が斜め45度、声色にいつもの元気さが23%くらい足りてない」

「そ、そんなことまでわかるの!!?」

「……。わかるわけないでしょ」


 彼はというと、コンポタージュの蓋を開けて、一口飲む。それから私の方へと顔を向けると、じっと見つめてくる。


「見られてると……困る」

「どうして?」

「飲み難いでしょ……?」

「僕は気にしないけど」

「あ、笑わないで! それは藍くんくらいだよ」


 口元を緩める彼に、そういう問題じゃない! と抗議の声を上げるけれど、聞き入れてもらえるわけがない。もういいもん、気にしないように飲み干してやる!

 口をつけたココアは、甘くて暖かくて、自然と笑みが零れる。


 寒い冬が終われば、また春が訪れる。その時私たちが、どうしているかなんてきっと誰もわからないし、二人ともわからないだろう。

/ 202ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp