第20章 白銀の願い
そういえば、あの事故以来彼が私の周りに注意を配る率が、上がった気がする。あのことが、よっぽど彼の中で衝撃的だったのか、私でも不審に思うくらい彼の私の周りに対する警戒心はうなぎのぼりだった。
お陰で、あれから何もないけれど、同時に愛佳さんの他に友人を作ることは不可能になっていた。
いや、別にそれでもいいんだけど。愛佳さんのことは好きだし。
「うっ、寒い……」
「大丈夫? そこの自販機で暖かい物でも買おうか」
立ち止まり、目の前にあった自販機で暖かい飲み物を二つ、手早く彼は買う。私が小銭を出すよりも早く。神業だった、本当に。誰かに見せてあげたかったなぁ。
「ん、ココアでもいい?」
「ありがとう。ココア好きだから、嬉しい」
「あ……蓋、開けてあげるね」
別にいいのに、という前に缶を奪われ、蓋を開ければまた手渡された。