第19章 終末の彼方で
詰まる思いを、形にするとなんだか酷くあっさりとしたもののように思えた。もっと価値のあるものだとばかり思い込んでいたけど、こんなにも"好き"という言葉は、まるで自己紹介をしてしまうかのごとく、無機質であっさりとして。
それは、私の思い違いであってほしい。
そう感じてしまうのは、きっと目の前の彼が私の言葉に、表情一つ変えないせいかもしれない。
「……僕はね、ずっと思っていたことがあるんだ」
「なに?」
「天音に触れたい、傍にいたい、守ってあげたい。僕には心が酷く欠落していて、正しく感情を自らにインプットさせるのが難しいんだ」
藍くんの言っていることは、今までで一番難しく聞こえた。