第18章 Winter編 B
「ねぇ、藍くん」
「……なに?」
「クリスマスが過ぎたら、私たち……もうこうして話すことも、会うこともなくなるんだよね」
「そうだね」
「寂しいって思ったら、駄目かな?」
「……」
「なんだかんだでね、一年間本当に楽しくて……大変なことも、勿論沢山あったけど全て私のかけがえのない思い出で。藍くんと過ごした一年間は、奇跡のような日々だったよ」
過去の痛みを引きずって、変わることを諦めた。もうこのままでいいんだと思いながら、愚かにも誰かが私を変えてくれるのを待ち続けた。
藍くんは、そんな愚かな私の手を取り、魔法をかけてくれた。
――変わっていく勇気、そしてそれを受け入れる勇気。
変わることは、今まで知る自分とは異なる新しい自分になるということ。それは到底、私には受け入れがたいことだった。知らない自分を見つける恐怖、私一人では辿りつけない場所だっただろう。
それでも、藍くんがいたからこそ……変わっていく自分を、素直に受け入れることが出来た。