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【うたプリ】足し算恋愛事情

第18章 Winter編 B



「えっ……」
「天音、いるんでしょ。何机に突っ伏して、遊んでるの」
「普通、人の返事が返ってきてから開けるものだよ」
「聞こえてきたよ。ほら、心の中から」
「藍くんがジョーク?」
「今のがジョークだとしたら、ちょっとまずいかもね」
「あ……えっと」
「どうせ返事なんか、する気もなかったくせに」
「ごめんなさい……」


 小さく謝ると、藍くんは気にしていないという素振りで、ただ笑った。私に近寄り、ブランケットの上から藍くんが着ていたジャケットを上から更に被せられた。


「え、風邪引くよ……? いいよ、私ブランケット被ってるし」
「それだけじゃ風邪引くでしょ。それ着て、気晴らしに散歩に出かけない? 最近色々忙しくて、最後の追い込みのせいもあるけど……疲れたでしょ」
「なんで、わかるの?」
「わかるよ。天音のことなら、なんでも」


 そんなはずないのに、藍くんが言うと本当にそうなんじゃないかと思えてくる。ぎゅっとかけられたジャケット握るとそこからは体温が感じられなくて、少しだけ怖くなった。


「藍くん、やっぱりジャケット返すよ。絶対寒いよ、ね?」
「僕のジャケットは受け取れないって言いたいの?」
「そうじゃなくて……自分の上着着るし、悪いよって言ってるの」
「風邪なんて、天地がひっくり返っても絶対にならないから心配いらないよ。着ていてほしい、天音に風邪を引かれる方が……僕は、嫌だと思うから」
「だと、思う?」


 変な言い方だ。まるで、第三者からの意見のように。

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