第18章 Winter編 B
自室の机に突っ伏して、ブランケットを被った。きっと、傷つけることなく誰かを好きになることは不可能だと思う。複雑に絡み合って、縺れて、傷ついていく。
初めての感情に、目を閉じた。現実から逃避したいからではなく、単純に泣き疲れたのだ。目を閉じれば先程の出来事が、鮮明に蘇る。けれどもう、涙は出ない。
「藍くん……」
ここにいない人物の名前を、徐に口にする。声に出してみれば、会いたい気持ちが募る。だからこれでよかったんだ、正しかったんだと言い聞かせながら。少しだけ目を開ければ、視界の端にカレンダーが映り込む。イヴとクリスマスには、両方予定が書き込まれていた。
のんびりと構えてはいられない、けれど今更焦っても付け焼刃に過ぎない。
だからこそ、今ある全てをぶつけていこう。積み上げたものを、磨いていこう。
コンテストまでに私が出来ることは、今まで学んだことを全て出し切る為の準備だけだった。
不意に、ノックの音が聞こえてきた。誰にも会いたくなくて、返事をするのが億劫で答えないでいると、不躾にも扉が開いた。