第2章 変わりたいと望む心
大きな建物、見慣れない豪邸によくあるような門。タクシーから降りた私と美風さんは、今シャイニング事務所と大きく書かれた看板がかかった建物の入り口にいた。
「ゆ、誘拐ですよ!? 本当にっ」
「あのままタクシーじゃなくて、歩きがよかった?」
「うっ……」
あまりにも周りの女性陣の勢いが凄く、私は彼から詳細を聞きだす暇もなく、タクシーに乗り込みあの人混みから逃げてきたのだ。こんな新手の誘拐は初めてだ!! か、帰り方がわからない……。
「わ、私を人質にしたところで、お金は取れませんよ!!」
「何訳の分からないことを言ってるの。ほら、行くよ」
すっと手を差し伸べられ、じっとその手と彼を交互に見返す。
「な、なんですか」
「これから僕らはこの事務所の中に入る。はぐれたら困るでしょ、ほら」
「私は子供じゃないです」
「子供でしょ」
ふっと鼻で笑われる。な、何だよ! 美風さんだって十分幼く見えるのに!! 私は思い切ってその手を取った。