第12章 泣いちゃう
「うん…ぐすん…」
私は頷く。
涙はおさまってきたけどまだ出てる。
胸の奥が痛くてヒックヒックってなる。
「ご…ごめんね…。いきそうだったよね? もう一回! もう一回できるから…」
彼はティッシュで自分のを拭きながら言う。
「ううん…。ぎゅーして。抱っこして…」
私はお願いする。
「うん…」
彼が私の身体を抱っこしてぎゅーしてくれる。
ぎゅーってされると、また涙がブワッてあふれてくる…。
「ぐす…ぐすっ…ぐすん…」
「さやかちゃん…よしよし…」
彼が私の髪を優しくなでなでする。
「ぐす…」
少し落ち着いてくると、彼が指で涙を拭ってくれた。
「ありがとう…」
私はちょっと笑う。
彼もちょっと微笑む。そして言いにくそうに話し出す。
「ううん…あの…」
「うん?」
「俺…こんなときどうしたらいいのか…考えても全然わからないから…今どうして欲しいとかあったら言って?」
彼が私の顔を見て言う。私は頷く。
「じゃあ…隣にいて。隣で寝てて…」
「うん」
私の言葉に彼はちょっと微笑んで、私の隣にゴロッと横になる。
私はそんな彼にピトッとくっついて手を握る。
彼の手を握ってると、だいぶ落ち着いてきた。
なんか前にもこんなことあったような気がする。
「わたしが初めてこの部屋に来たときも…泣いちゃったの覚えてる?」
「うん…覚えてる」
私が話し出すと、彼は私の顔を見て優しく微笑む。
「そのときも祐樹、わたしのことよしよしして、手を握ってくれたよ」
「そうかな…そうだったかな…」
彼がふふっと笑う。
話したいことはまだまだいっぱい出てくるけど私は話をやめた。
ただ彼の手を握って黙ってるのが気持ちいいから。