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進学校の落ちこぼれ女子

第19章 冬、そして春


「祐樹…わたし不安なの」

「どうしたの?」

「東京に行ったら、わたしなんかよりずっと綺麗で賢い人がいるよ。
そんな人と祐樹は出会えるんだよ。
祐樹は大丈夫だって言ってくれるだろうけど、時々どうしようもなく不安になるの」

こんなこと言ったってウザいだけだってわかってる。

でも、時々どうしても私は彼になぐさめて欲しくなる。

「ふふっ…。さやかちゃんは本当にバカだね」

「はぁ?」

私はちょっと怒って顔を上げる。

「冗談だよ。ぷっ」

祐樹がクスクス笑う。

私はちょっと唇をとがらせる。

「教えてあげる。
俺なんか高校出ちゃえば1番でもなんでもない。
でもさやかちゃんの足の長さと素直で可愛い性格はそうそう変わらないはず。
この先、さやかちゃんのほうがもっといい男をつかむチャンスがいっぱいあると思うよ」

私は首を傾げる。

「でも俺は高校でさやかちゃんをみつけた。
手をつけて、将来の約束をして…今のとこ順調…」

そう言って祐樹は悪戯っぽく笑う。

「知ってるだろ? 俺はバカじゃない。
さやかちゃんを逃がさないようにちゃんと努力するよ」

納得できるようなできないような…。

適当におだてて丸め込もうとされてるような…。

「いいんだよ。何回でも弱音吐いて。何回でもなぐさめてあげる。言葉でも、身体でも。
ねぇ…口開けて」

彼は私の頬を持ち上げる。

私は彼の目を見て、あーんって口を開ける。

彼の舌が私の口の中に入ってくる。

いつだって祐樹の舌は、熱くて柔らかくて気持ちよくて…優しい…。

でもなぜか涙がちょっと出ちゃう。

祐樹が、そんな私の涙を舌でそっとぬぐってくれた。

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