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〜虹村 修造のお話〜

第18章 -初対面②-


病院を出てから、
ひかりは双子が可愛かったとか、
親父もお袋も優しかったとか、
そんな話しかしなかった。


親父のことを
話していなかったことについては
何も触れてこない。


「まだ時間…大丈夫だろ?」


ひかりの家の近くの
あの公園の前に来たとき、
オレはひかりの手を引いて、
公園に入り、ベンチに座った。



時間も時間だからか、誰もいない。



「どうしたの〜?」


ひかりは優しく
微笑みながら聞いてきた。


「親父のことだけど…」


「うん。」


「去年の春から入院してて…
もうすぐ1年になる。」


「うん。」


ひかりは何も言わずに
オレの一言一言に頷くと、
オレの頭を撫でた。


「…ひかり?」


「ムリして話さなくて大丈夫だよ。
お父さん…入院して辛かったね。」



ひかりはオレの頭を撫で続ける。



黙ってたこと…怒ってないのか?




「怒ってないか心配してるの?」




ひかりは頭を撫でてた手をはなし、
オレの目を見て聞いた。


「…あぁ。」



…やっぱりひかりにはかなわないな。



「怒ってないよ。怒るというか…
最初はちょっとだけ
さみしくなったけど…。」


「さみしい?」


オレは顔をあげてひかりを見つめた。


「…うん。
修造が大変だったり辛いこと…
わたしには相談しにくいのかな…って。
わたしは色々相談しちゃったり、
泣いたり…頼りっぱなしなのに…。
なんでも全部話さなきゃいけない
決まりもないんだけどね。」



ひかりは少しだけ辛そうに、
でも、明るい口調で話していた。


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