第14章 ---Another side---
「ちょっ…平澤くん⁈はなしてっ。」
「いいから。今だけだ。」
オレは放さなかった。
わかってるから…今だけ…今くらい…
「知ってたよ。
おまえ、虹村入ってきた時から、
あいつのこと好きだったろ?」
「平澤…くん?」
ひかりはオレの腕の中で顔をあげ、
目を見開いてオレを見つめてきた。
…っ‼︎んな顔で見んな…。
「ばーか!オレがどんだけ
おまえ見てたと思ってんだよ?
バレバレだって。」
オレは今まで言えなかったコトを
一気にひかりに告げた。
「怪我した時も、
おまえが心配してくれてんのは、
恋愛感情抜きだってちゃんとわかってたよ。
気づかないふりして
おまえに甘えてたのは
俺のほうだったんだよ。」
オレは腕の力を緩め、
じっとひかりを見つめた。
「オレだって…中1の時から…
おまえのことが好きだった。」
「…っ⁈」
一瞬困ったように
泣きそうになったひかりは、
怯えたように目をギュッと閉じて、
体がこわばっていた。
そりゃそうだよな…。
そんなひかりを見て、
オレは苦笑いするしかなかった。
でも、やっぱり悔しいから、
ひかりの頭をポンポン叩き、
デコピンしてから、
オレは腕の力を抜き、
ひかりを解放してやった。
「いった〜っ‼︎な…何⁈」
強張っていたひかりの表情が一気に緩む。
いつものひかりだ。
「おまえ、
今キスされると思ってたんだろー?
ばーかっ‼︎自意識過剰だっつーの!」
オレは笑いながら言った。
”いつものオレ”に戻るために…。