第11章 -”蜂”合わせ-
「み…見た?」
「そりゃ…まぁ。一瞬は…。」
どうにも歯切れの悪い返事だが、
ハッキリ見たとも言いづらいし、
見てないと言うのも白々しい。
「〜〜〜〜っ‼︎」
声にならない声を出し、
ひかりさんはムーっとふくれていた。
「別にスタイル悪くないんだから…」
「な…っ⁈
そういう問題じゃないでしょー⁈
スタイル良くないしっ!
最近1kg太ったし、汗かいてたし…
と、とにかく見られたら困るのっ!」
オレはボソッと言ったつもりだったが、
ひかりさんにはしっかり
聞こえていたらしく、
少し落ち着いたと思った
ひかりさんは、また怒ってしまった。
あーっ‼︎もうっ‼︎
「入ってきたのが、
オレだったからよかったけど、
変質者とか入ってきたらどうすんだよ⁉︎
せめて鍵くらいかけとかねーと。
だいたい
”男子”バスケ部の部室なんだし、
ひかりさん、油断しすぎ!」
「……っ。ごめんなさい…。」
怒っていたはずの
ひかりさんは、シュンとして俯いてしまった。