第52章 -旅行-
遊びの卓球とはいえ…負けんのはイヤだ。
「こっから追い返すんだよ!」
また打ち合いを始める。
10-9
10-10
「っしゃー‼︎」
「ほんとに追い返さないでよー!
デュースになっちゃった!」
「ぜってぇ負けねぇかんな‼︎」
オレのサーブから始まる。
10-11
11-11
12-11
デュースが続いたが、
次ひかりが取ったら、ひかりの勝ちだ。
「はぁ…暑くなってきたね。」
…っ⁈
オレは最初から浴衣の袖をまくってたが、
ひかりも浴衣の袖をまくり始めた。
そ…それ、反則だろっ⁉︎
ひかりの色白の二の腕に
つい気を取られてしまう。
二の腕に気を取られたら最後、
浴衣の合わせの胸元にまで
目が行ってしまう。
「よーし!最後気合い入れたから‼︎
いくよー!えいっ‼︎」
ヒュッ…
「やったぁ‼︎」
気合い入れすぎだろ…
オレはまたひかりのサーブに
反応できなくなってしまった。
13-11
ひかりの見事な勝利だった。
つぅか、オレが邪心に負けただけ…か?
「やったー!アイス〜!」
ひかりは飛び跳ねて喜んでいる。
「くそっ…もういっ…⁈」
「ん?どぉしたの?」
”もう1回!”と言おうとしたが、
オレはそれをやめ、
ひかりのほうへ歩み寄る。
「もう戻るぞ!」
「え?もうおしまい?」
スッ…
「あ…っ‼︎ちょっ…やっ…」
オレは黙って、
ひかりの浴衣の胸元を直した。
本気で卓球をしていたひかりの
浴衣の胸元がはだけていたから。
「浴衣で卓球、禁止!」
ピッ‼︎
「いたっ…」
胸元を直したのを確認して、
オレはひかりにデコピンをお見舞いする。
「…はぁい。」
「アイス買ってやっから…部屋戻るぞ。」
「うん。」
またひかりの手を引いて、
アイスを買ってから部屋に戻った。