第52章 -旅行-
卓球部屋に着くと、
誰もいなくて、オレたちだけだった。
「貸切だぁ!ラッキーだね♪」
ひかりはご機嫌で、ラケットを持つが、
オレは別の意味でラッキーだと思った。
ひかりを見る奴がいないから…。
「じゃ、サーブ権ひかりにやるよ。」
「いいのー?あとで負けた
言い訳にしちゃダメだよ?」
「は⁈負けねーし!
レディファーストだよっ!」
ラケットを持って、
卓球台をはさんで2人とも立つ。
「ふふ…じゃ、ありがたく♪
いくよ〜♪えいっ!」
ヒュッ…
ゲッ‼︎
「やったー!1点ゲット〜♪」
マジかよ…
ひかりのサーブは鋭く速く…
悔しいがオレは反応できなかった。
「修造、油断してたでしょ〜?」
「…‼︎よ、様子見だよ!」
ひかりはオレを見て
クスクス笑っていた。
図星だったことはバレバレなんだろう…。
「おら‼︎次‼︎やるぞ‼︎」
オレはさっきよりも集中して、
ひかりのサーブを待つ。
「えいっ!」
カッ…‼︎
「くそっ…」
今度は反応できたが、
オレは返すので精一杯で、
アウトになってしまった。
「負けたらアイスだからね〜?」
「わーってるよ‼︎」
それからは少しずつ、
ひかりのサーブにも慣れてきて、
ラリーも続くようになり、
点の取り合いが続いた。
「はぁ…修造はやっぱり上手だね。
わたし、こんなに手こずったの、
久々だよ。
でも、もうマッチポイントだからね♪」
今は10-8でひかりがリードしている。
卓球は11点先取だから、
あと1点でひかりの勝ちだ。