第52章 -旅行-
それから、部屋で飯をたらふく食って、
暫くひかりと並んでテレビを見ていた。
…コテン。
…⁈
「ひかり…⁈」
「あ…ごめん。」
ひかりは照れたように笑いながら、
顔をあげた。
「どうした?眠いか?」
オレはひかりの顔を覗き込んだ。
「眠くないよ。
ちょっとだけ、
甘えたくなっちゃっただけ。」
…っ⁈⁈
ふわっと笑うひかりの表情に、
思わずオレが赤面してしまう。
「じゃ…甘えとけよ。」
……チュ。
甘えたいというひかりに、
オレも甘えたくなり、
そのままキスをした。
あぁ…やっぱり
キスだけじゃ足んねーよな。
「あ!忘れてた!
修造!卓球しに行こうよ!」
「は…⁈」
今…けっこういい感じだったと
思うんだけど…
このタイミングで卓球かよ⁈
「さ…さっき、ごはんの後でって
言ったでしょ?」
そう言うとひかりは立ち上がり、
髪を結び直して準備を始めた。
楽しそうにしてるひかりは可愛いけど…
たぶんまた意識してんだな…。
ま、オレもがっつきそうだったけど。
「わーったよ。
だけど、手加減しねーかんな?」
ひかりの頭を軽くポンとする。
「いーもーん。
わたし、けっこう強いんだから♪」
「へぇ。」
ま、運動神経は悪くねーんだろうし、
卓球なら、そこまで
膝に負担かかんねーよな。
「あ!信じてないでしょー?」
ひかりがオレの胸元を殴るふりをする。
「いてーよ。」
「ははっ♪
負けたほうがアイスだからね〜?」
いたずらっ子のような目で
ひかりがオレを見上げた。
…っ‼︎
オレはアイスじゃなくて…
ひかりのがいいんだけどな。
「…どうしたの?
修造、疲れてる?」
オレが黙っていたからか、
キョトンとしたひかりが
オレの頬に手を伸ばした。
「疲れてねーって。
ほら、行くぞ。」
オレはまたひかりの手を引き、
さっき見つけた卓球場へ向かった。
「修造、ココに来てから、
すぐ手つなぐね。」
「…イヤなのかよ?」
「ううん。すっごく嬉しい♪」
…っ⁈
ひかりの今日1番の笑顔に、
卓球勝負をする前に
オレはやられてしまった。