第52章 -旅行-
ひかりの行ったほうへ行くと、
ひかりはまた固まっていた。
虹村
「ひかり?どうした?」
ひかりの視線の先を覗き込む。
…⁈
ひかりが見ていたのは内風呂だった。
すげぇ‼︎
旅館の大浴場行かなくても、
十分な広さの檜の露天風呂だった。
オレはつい後ろから、
ひかりの身体を盗み見してしまう。
ひかり
「す…すごいね‼︎
あ!観光どうしようか〜?」
ひかりはオレの脇をすり抜け、
和室に戻っていった。
…わかりやすすぎだろ。
虹村
「ん〜?どうすっかな。」
ピロン♪
オレも和室へ戻ると、
ひかりのスマホが鳴った。
ひかり
「あれ?お母さんからメール?
…⁈」
ひかりはメールを読んで、
今日何回目だ⁈ってくらい
また固まっていた。
虹村
「どうかしたか?」
ひかり
「これ…」
ひかりにメールを見せられる。
『無事に着いた?
”姉弟”でよかったかしら?
それとも”兄妹”のほうがよかった(笑)?
お部屋、ビックリしたでしょ?
和室にお布団も敷いてもらえるから、
ベッドとお布団に別れて寝なさいね。
一応、”部屋は別”…でしょ♪?
お父さんには内緒ね♪
じゃ、楽しんできなさい♡』
なんだ…寝る部屋は別か…。
ちょっと残念に思う自分がいたのは、
ひかりには言えねーな。
虹村
「おばさんは全部わかってたんだな。」
ひかり
「…そうみたいだね。」
ひかりの頭にポンと手を置く。
ひかり
「…しゅ…⁈」
虹村
「ひかり、さっきから固まりすぎ。
いつも通りでいいから。」
ひかり
「…っ⁈そんな固まってないもん…。」
ひかりが少し恥ずかしそうに
やっとオレのほうを見た。
虹村
「固まってる、固まってる(笑)」
ひかり
「固まってないーー‼︎」
ひかりをからかうと、
ひかりはぷぅっとむくれていた。
虹村
「ふぅん…♪」
…ギュ。
ひかり
「…⁈修造⁈」
虹村
「ほんとだ…固まってないわ(笑)」
ひかりは柔らかくて
抱き心地がいい。
ひかり
「ちょっ…もう…。
恥ずかしいってば…。」
虹村
「あとちょっとなー。」
これからイロイロ我慢すんだから、
こんくらいいいよな。
オレはしばらく
ひかりをはなさなかった。