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〜虹村 修造のお話〜

第49章 -初詣-


暫く話した後、栗きんとんを渡し、
お餅は帰りにまた寄って
受け取るコトになった。


かんなちゃんは会釈はしてくれたが、
それだけだった。


なんでオレだけ…?


かんなちゃんも一緒に行こうと
ひかりが誘ったが、
かんなちゃんは、
巫女の手伝いがあるから…と言って、
一緒には来なかった。
だが、なんとなく
一緒に行きたそうに見えたのは…
気のせいか?


虹村
「なぁ…」


参拝の列に並びながら、
ひかりに話しかける。


ひかり
「ん?なぁに?」


虹村
「あのコ…オレがいるから、
遠慮してたのか?」


ひかり
「あ…う〜ん…遠慮っていうか…」


ひかりは何かを迷うように
話すのを躊躇していた。


虹村
「言いづれぇコトなら、
ムリして言わなくていいぞ?」


ひかり
「修造なら…いいかな…」


暫く考えていたひかりが話し出した。


ひかり
「かんなちゃんね、霊感があるの。」


虹村
「霊感?それがなんだよ?」


ひかり
「小学生の頃、それで周りに
怖がられちゃったみたいで…。
自分からも
人を遠ざけるようになっちゃって…。
わたしは昔から知ってるし、
今まで通りなんだけど…。」


虹村
「それでか…。」


理由はなんとなくわかった。
でも、話してはくれなかったが、
やたらオレを見ている…そう感じた。
自意識過剰か?


ひかり
「ほんとは明るくて可愛くて…
話すと楽しいんだよ。
わたし、兄弟いないでしょ?
だから、妹みたいで…。」


ひかりは少し淋しそうだった。


虹村
「帰りに寄るとき、リンゴ飴でも
お土産に買ってくか?」


ひかり
「…‼︎うん‼︎」


いつもの笑顔が戻ったな。


虹村
「着物、歩きにくくねーか?
大丈夫か?」


ひかり
「大丈夫だよ♪」


大丈夫と言われたが、
オレはひかりの手を取った。


ひかり
「修造?…ありがと。」


ひかりがギュッと握り返してくれた。


本堂まで行き、お賽銭を投げ、
柄にもなく真剣にお願いをする。


親父の病気が治りますように…
家族皆が健康でいられますように…
ひかりとずっと…
一緒にいられますように…


オレがそっと顔をあげると、
隣のひかりは
まだお願いごとをしていた。


ひかり
「よし!」


やっとひかりが顔をあげた。

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