第45章 -クリスマスイヴ-
虹村
「おいっ!てめぇっ!
人の彼女に何してくれてんだよ⁈」
店員
「いえ…あの…いや…その…」
明らかにオレのがガキだが、
店員は急におとなしくなった。
ひかり
「修造…っ。それくらいで…」
殴りかかりそうなオレを、
ひかりが慌てて止めに入り、
オレはムカつく店員から引き離された。
ひかり
「あ!お兄さん!」
オレのことを止めたクセに、
ひかりはその店員に話しかけた。
店員
「ゲホッゲホッ…は…い?」
ひかり
「お兄さんみたいな男の人、
どんなに外見着飾っても、
モテないと思います。」
ひかりのことばに
店員はポカンとしていた。
笑顔のひかりのことばには、
ものすごい毒が入っていた。
相変わらず…だな。
ひかり
「修造、行こ♪」
結局何も買わず、店を出た。
歩きながら、ひかりに少し説教する。
虹村
「おめぇはあぁいう時、
ムリしてつっかかるのやめろな?」
前に灰崎にも食ってかかってたし、
ひかりはちょっと
負けん気が強すぎる気がする。
ひかり
「ムリしてないよ〜。
ほんとにイヤだったし、
そう思ったんだもん。」
虹村
「そりゃ、
オレもムカついたけどよ。」
そう言って、
ひかりの頭をポンとする。
虹村
「オレがいない時心配だから。」
ひかり
「…っ⁈…うん。」
ひかりは頷いたが、
おとなしくなってしまった。
”いない時”とか言ったからだよな…
虹村
「言っとくけどな?
誰彼構わず
つっかかることだけじゃねーぞ?」
ひかり
「え…?」
虹村
「あぁっ。もうっ!
ひかり、モテるんだよ!
少しは自覚しろっつぅの!
さっきみたいな変な男も
いっぱい寄ってくんだろーが!」
つか、オレ何やってんだ…
クリスマスデートだっつぅのに…
嫉妬してひかり怒鳴って…
うぁーーー自己嫌悪。
オレ、最悪だよな…。
ひかり
「修造…そんなこと心配してたの?」
自己嫌悪に陥ってたオレに、
キョトンとしたひかりが言った。
虹村
「そんなことってなぁ…」
ひかり
「ありがと♪えへへ…
ごめんね。でも、ちょっと嬉しい♪」
そう言うとひかりは、
オレの手をギュッと握った。
ひかり
「修造…ありがと。」
ひかりの笑顔でオレの気持ちは
一気に晴れていった。