第44章 -家族会議-
ひかり
「こうやって…
なんにもしないでゆっくりするの、
初めてかもね。」
たしかに…な。
お互いの家なんて、
数えるほどしか行ってないし、
ひかりにいたっては、
オレの部屋すら入ったことない。
オレは抱きついている
ひかりを見つめ、ゆっくり頭を撫でた。
ひかり
「こうやって…いろんな”初めて”を
これからたくさんしていくのかな。」
ひかりの発言に
オレは一瞬ドキッとした。
”遊んでないで
早くヤることヤったほうが
虹村さんの体にもいいっすよ〜”
この間の灰崎のことばを思い出す…。
別に今すぐ
ひかりとどうこうなりたいとか、
ムリヤリしたいとか、
そういうわけではない。
でも、やっぱりたまには、
ひかりに触れたい…
そう思うこともあった。
ひかりはいつだって無防備だ。
オレがいなくなったら、
他の男に狙われないだろうか…?
ひかりの頭を撫でながら、
オレはそんなことばかり考えていた。
ひかり
「…修造?」
オレが黙っているのを
不思議に思ったのか、
ひかりが顔をあげた。
その顔が可愛くて、オレは何も言わず、
ひかりにキスをした。
ひかり
「…っ⁈しゅ…」
キスは1回ではなく…
何度も何度もひかりと口づけを交わす。
虹村
「ひかり…っ。」
今、ひかりとこんなに近くにいるのに、
ひかりを見ると愛おしくて苦しくなる。
キスはさらにいつもより深く…
ひかりの力もだんだん抜けてきて、
自然と押し倒すようになってしまい、
オレはキスをしたまま、
ひかりの胸元に手を伸ばしていた。
ひかり
「ぁっ。」
虹村
「…っ‼︎わりっ。」
オレは思わず手を放す…が、
態勢はそのままで、
オレたちは無言で見つめ合っていた。
少し潤んだような瞳で
オレを見つめているひかり…
もっとひかりに触れたい…
ひかりの手を握ると、
ひかりは握り返してきた。
オレはその手の温もりを感じながら、
もう1度、ひかりの胸に手を伸ばした。
虹村
「ひか…
ガチャ…
…っ⁈
突然、玄関の開く音…
オレたちは慌てて離れて、座り直した。
ひかり母
「ただいまー。」
帰ってきたのは、ひかりの母親だった。
間一髪セーフ…ってやつだな。
オレは拍子抜けして、
冷めたコーヒーを一気に飲み干した。