第42章 -名医-
ひかり
「どうしたの?」
ひかりはギュッと力をいれて
オレを抱きしめてから、
子どもをあやすように
背中をポンポンとして、
ゆっくり優しく聞いてくれた。
虹村
「親父の病気に詳しい医者…
見つかってよかった。」
ひかり
「うん。そうだね。」
虹村
「…ロサンゼルスにいるって。」
ひかり
「…⁉︎……ロサンゼルス⁇⁇」
ひかりの手が一瞬止まった。
ひかり
「いつ…行くの?」
虹村
「まだ決まってない。
親父の体調次第…。」
ひかり
「…そう。」
虹村
「ひかり…オレ…!」
光平
「ふぁ…っ…あ!クッキー‼︎」
リビングの隣の部屋から、
突然昼寝から起きたらしい
光平の声が聞こえた。
虹村、ひかり
「………‼︎」
オレとひかりは顔を見合わせ、
慌てて離れて座り直した。
ガチャ…‼︎
光平
「ひかりっ‼︎クッキー焼けた⁈
あれ?お兄ちゃん!」
笑未
「ん…おはよう。お兄ちゃん…?」
光平の声で笑未も起きたらしく、
2人とも出てきた。
笑未
「お兄ちゃん、ご用事終わったの?」
まだ少し寝ぼけた笑未が
膝に乗ってきた。
虹村
「ん?あぁ。クッキー作ってたのか?」
笑未
「うん‼︎お兄ちゃんのも作ったよ!
ひかりちゃん!クッキー焼けたかな?」
ひかりはいつのまにかキッチンにいた。
ひかり
「うん!バッチリだよ!
少し冷めてきたから、
可愛くラッピングしよっか♪」
笑未、光平
「うん‼︎」
笑未も光平も嬉しそうに
クッキーを入れていた。
楽しそうな2人を眺めていると、
ひかりと目が合った。
ひかりは2人に教えながら、
オレに向かって微笑んでいた。
笑未
「お兄ちゃん!どうぞ!」
光平
「お兄ちゃん、オレも〜!」
ラッピングを終えると、
2人ともまずオレにくれた。
笑未はクマで光平は車だった。
虹村
「すげぇうまそうだな。
ありがとな。」
光平
「うん‼︎
お父さんとお母さんのもあるよ!」
笑未
「うん‼︎
ひかりちゃんはお兄ちゃんのは?」
ひかり
「え…?
笑未ちゃん、よくわかったね。」
少し恥ずかしそうにひかりもくれた。
ひかり
「はい。わたしのも食べてね。」
ひかりのはハート型だった。
虹村
「おう。ありがとな。」