第42章 -名医-
双子たちが昼寝をしてしまったから、
家の前に着いたら、
インターフォンじゃなくて、
電話をしてほしいと、
ひかりからメールがきていたので、
オレはひかりの家の前で電話をした。
相変わらずひかりのこういう気遣いには
頭があがらない。さすがだなと思う。
ひかり
「いらっしゃい♪」
電話をすると、
エプロン姿のひかりが出迎えてくれた。
襟ぐりが広めにあいた
薄手のニットを着ているせいで、
なんていうか、
エプロンの下が一瞬素肌だけに見える。
虹村
「…おう。」
オレはドキッとしてしまった。
ひかり
「2人ともまだグッスリだよ〜。
クッキーももうすぐ焼きあがるよ。」
家にあがると、
クッキーの焼ける甘い匂いがしていた。
そういえば、昨日の夜、双子たちが、
ひかりとクッキー作るっつって
張り切ってたな。
虹村
「ありがとな。
急だったのに2人見ててくれて。
助かったわ。」
ひかり
「ぜんぜんだよ。
妹と弟ができたみたいで、
わたしも楽しかった!」
コーヒーを淹れてくれたひかりと
ソファに並んで座った。
ひかり
「おじさまの先生…どうだった?」
ひかりが期待と心配の入り混じった声で
聞いてきた。
虹村
「あぁ…。親父のこと…
診てもらえることになった。
親父と同じ症例の
手術も成功してるって…」
ひかり
「ほんと⁉︎すごいすごい‼︎
そんなすごい先生がいるんだね。
あ〜本当によかったぁ。」
ひかりは喜びながら、
ちょっと目がうるんでいた。
本当に心から心配してくれていて、
本当に喜んでくれているんだと、
改めて思った。
オレももちろん嬉しい。
親父の病気に詳しい名医なんて、
見つかるのがキセキだ…。
…………………ギュ。
ひかり
「…修造⁈」
オレはことばが見つからず、
思わずひかりを抱きしめてしまった。