第40章 -ひかり-
そのままひかりの手を引き、
エレベーターに乗った。
…っ。
エレベーターの中は明るい。
ひかりの顔を見れない。
ひかりを見つけて
思わず普通に話していたが、
ひかりと別れたこと、
すっかり頭から抜けていた。
オレから言ったのに…
そんなこと考えてたら、
エレベーターが最上階に着いた。
オレはひかりを先におろし、
自分もおりてから、
セキュリティを解除した。
ガチャ…。
虹村
「ほら。」
色々ゴチャゴチャ考えていたが、
この景色を見たら、
頭のゴチャゴチャも吹っ飛んだ。
ひかり
「うわぁ。キレイだね♪
キレイキレイ♪」
ひかりは初めて見たときのように
フェンスのギリギリまで走って、
夢中で景色を見ていた。
あの時より寒いから、
空気が澄んでいて
さらにキレイに見えた。
虹村
「…ひかり。」
オレはひかりの後ろまで行って、
ひかりを呼んだ。
ひかり
「ん?なぁに?」
ひかりはあの時みたいに
ニッコリして振り返ってくれた。
ひかり
「あ…ゴメン。
別れようって…言われたのに…
わたし…」
虹村
「悪かった‼︎」
オレはひかりのことばを遮り、
ひかりを抱きしめた。
ひかり
「…修造?」
虹村
「ゴメン。オレ…勝手だけど…
やっぱりひかりと別れたくない‼︎
オレが勝手に自信なくして…
嫉妬しただけだ…。
本当にゴメン!」
オレは1度ひかりをはなして、
頭を下げた。
ひかり
「修造…っ。」
ひかりが抱きしめてくれた。
ひかり
「ううん…わたしもごめんなさい。
樹さんのこととか…何も話さなかった。
聞くだけじゃなくて、
もっと…わたしのことも
ちゃんと話す…」
オレは力を込めて…
でも、優しくひかりを抱きしめた。
ひかり
「しゅ…ぞう…。うわぁ…ん。」
虹村
「…ごめんな。」
ひかりはまた泣き出した。
オレはひかりを抱きしめたまま、
ひかりが泣き止むまで、
ひかりの頭を撫でていた。