第40章 -ひかり-
オレはあのビルまで走った。
ひかりはあのビルにいる気がする。
オレにはそれしか思い浮かばなかった。
ガチャガチャッ!!
虹村
「ひかりっ!!」
オレはあの古いビルに入り、
奥の階段の所まで行った。
ひかり
「しゅう…ぞう…?」
ひかりは階段の1番下に座っていた。
虹村
「は〜ぁ。
やっぱりココにいたのかよ。」
オレは気が抜けて、
ひかりの前にしゃがみこんだ。
ひかり
「なん…で…?修造が…?」
虹村
「おばさん、心配してるぞ。」
ひかり
「…⁈お母さん…修造に連絡したの?」
虹村
「あぁ。
お前、携帯もおいてっただろ?」
ひかり
「あ…。」
今更気付いたらしい。
ひかり
「…いたっ‼︎」
オレはひかりにデコピンをした。
虹村
「ばーか。」
ひかり
「しゅ……ぞう……修造っ。
うわ…ぁぁぁ…っん。」
虹村
「…ひかり⁈わ、わりぃ。
そんなに痛かったか⁈」
いきなりオレに抱きついて
ひかりは泣き出した。
ひかり
「うわ…ぁ…こ…怖かった…」
虹村
「…はぁ⁈何がだよ?」
ひかり
「く…暗いし…」
相変わらずひかりはわからねぇ。
ちょっとズレてるというか…。
虹村
「暗いのはオレのせいじゃねぇよ…」
オレの腕の中で泣くひかり…
久しぶりのひかりの感触に、
不謹慎かもしれないが、
オレは安心していた。
虹村
「なんで…ココに来たんだよ?」
オレは
ひかりの頭を撫でながら聞いた。
ひかり
「さ…淋しくて…」
ズキッ…。
やっぱり…オレのせいだよな…。
ひかり
「淋しくて…忘れなきゃって思うのに、
修造のことばっかり考えちゃって…
楽しかったことたくさん考えてたら…
ココのこと思い出して…
修造のマネして同じルート歩いたの。
それで…最後にココに来て…」
虹村
「最後はココだけど…
階段じゃねーぞ?」
ひかり
「上の…セキュリティ外すの…
できなかったんだもん。」
しょげてるひかりがなんだか可愛い。
虹村
「よしっ。行くか。」