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〜虹村 修造のお話〜

第37章 -崩壊-


土曜日、リハビリを終えたひかりが
親父の病室に来ていて、
久しぶりのひかりに
双子達や親父もお袋も嬉しそうだった。



虹村母
「そういえば、この間
ケーキいただいちゃって…
この子たちがワガママ言ったんじゃ…?
ひかりちゃん、
お店で怒られたりしてない?」


ひかり
「いえ、わたしは何も…。
あれは店長からなので。
こちらこそ、シュークリーム
買っていただいて…。」


ひかりはニッコリ笑ってこたえた。


笑未
「ウサギさんのケーキ
おいしかったよ〜。」


光平
「うん!ひかりが作ったんだよなー。」


ひかり
「作ってはないよ〜。」


ケーキの話に胸の奥がチクチクする。



ひかりが病室に来てから、
オレはほとんど
ひかりと話してなかった。



まぁ、普段から、ココにいると、
オレは相槌を打つか
たまにツッコミを入れるか…
その程度なので、
誰も違和感は感じていないと思う。


たまにひかりが
オレのほうを見てくる気がしたが、
オレは意識的に
ひかりの視線を避けていた。



それでも、帰りには、
ひかりを送っていくため、
2人きりにならなければならない。

今日は親父の検査もあったので、
夕方には皆で親父の病室を出て、
地元の駅からは
オレがひかりを送ることになった。



いつもなら1番嬉しい時間だったのに、
今日は気が重かった。



ひかり
「すごい久しぶりだね♪」


虹村
「あぁ…。」



2人になると余計に
ひかりへの猜疑心や不安、嫉妬を
ひかりに全部ぶちまけたくなる。



ひかり
「先週…来てくれてありがとうね。
本当に嬉しかったんだよ。」


ひかりがオレの顔を覗き込んできた。


虹村
「…なんだよ?」


オレは顔をそむけた。


ひかり
「なんで今日…
わたしのこと見てくれないの?」


虹村
「あ?別に…そんなことねぇよ。」


ひかり
「じゃあ、久しぶりで照れてるの?」


虹村
「そんなんじゃねーよ。」


ひかり
「じゃあ、なんで?」


虹村
「だから!そんなことねぇって
言ってんだろ⁉︎」


しまった…。
思わずキツく言ってしまった。


ひかりの表情が強張る…。
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