第37章 -崩壊-
なんとか気持ちを切り替えよう…
土曜日にはひかりに会えるし、
それからはまたいつも通りに
会えるようになるんだし…
そう思いながら過ごしていた。
水曜日になり、週も折り返し…。
オレは放課後に担任に呼び出され、
進路について長々と話をされた。
その日は親父の病院に行かなかった。
バスケ推薦…
一般受験…
就職…
親父のことを考えると、
どれも決められなかった。
オレは無性にひかりに会いたくなった。
進路相談のあと、
学校でウダウダ考えていたら、
いつのまにかかなり時間がたっていた。
今から行けば…
ひかりも
バイトが終わる頃かもしれない。
オレはあのケーキ屋まで行った。
店はもう閉店していたので、
もう少ししたら、出てくるだろう。
オレは店の前にある噴水の淵に
座って待つことにした。
ガラ…ッ…
お…。
ひかりが店の横の従業員用の
ドアから出てきた。
虹村
「ひか…」
オレは思わず呼ぶのを躊躇した。
店長
「じゃ、お疲れさま。気をつけてな。
樹、ちゃんと送るんだぞ?」
ひかり
「お疲れさまです。
あの、本当に大丈夫ですよ。」
樹
「いつもちゃんと送ってるよ。
こんな時間に1人じゃ危ないし、
ボクも親父と帰ってもつまらないしね。
気にしなくていいんだよ。
行こうか、ひかりちゃん。」
オレは店の正面側にいたので、
ひかり達はオレに気付かず、
そのまま行ってしまった。
いつも…送ってもらってたのか…?
オレにはそんなこと一言も…。
だが、ひかりが遅くまでバイトして
危ないから帰りは迎えに行こう…
そんなこと、思いもしなかった。
ひかりは学校帰りだから
学校の…高校の制服を着ていた。
あの男…樹は私服だった。
細身のパンツにシャツ、ジャケット…
品のいい大人…という感じだった。
オレは…
思わず自分の服装を見る。
制服だ。中学の…。
大人っぽく見えるとは言われても、
所詮オレは15のガキだった。
ひかりはすごい楽しそうに見えた。
オレといるよりもひかりは…
オレはそのまま1人で家に帰った。
その日、オレは
ひかりの電話にも出れず、
メールも1日返さなかった。