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〜虹村 修造のお話〜

第5章 -帰り道②-(回想)


「あれ?虹村くん?」


「あ!平澤さん、どうでした?」


やっぱり、ひかりさんは体育館に顔を出した。
俺は挨拶も忘れ、ひかりさんに駆け寄った。


もちろん、平澤さんのことだって心配だった。



「うん。捻挫だって。全治1週間…」


弱々しく笑顔を作り、
ひかりさんはオレを見た。


「1週間…ですか…。
でも、公式戦も先だし、
ただの捻挫なら、不幸中の幸いでしたね。
安心しました。」


オレは何の意図もなく、
ただ思った通りに言ったつもりだった。


でも…



「”ただの捻挫”…?」


心なしか、ひかりさんの声が
震えてる気がした。


「なんで、”ただの捻挫”だと安心なの?
”ただの捻挫”ってなに?
どうなるかなんて、
誰にもわからないじゃない‼︎」


弱々しい笑顔すら、ひかりさんから消え、
ひかりさんは青ざめていた。


ひかりさんが
取り乱すのをオレは初めて見た。


「あ…ごめん…。ごめんね、急に。
平澤くんなら、3日くらいで
治っちゃいそうだよね。バカだし(笑)
ん?バカは風邪ひかないだけか。
バカは風邪ひかないけど、
怪我はするのかなぁ?
もう、めんどくさいね(笑)」


ひかりさんは、
すぐにいつもの雰囲気に戻り、
取り繕うように、一気に喋りはじめた。


「いえ。すみません。
俺も軽はずみでした。」



でも、オレは、その時、
ひかりさんは平澤さんのことが
好きなんだなって思った。


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