第34章 -帰り道⑥-(回想)
ひかりはちょっと淋しいんだと思う。
あの時も双子の話をしたら、
すごい反応してたしな…。
虹村
「できましたよ。」
ひかり
「ありがとう。」
オレは傷口をガーゼでおさえたあと、
念のため軽く包帯もしておいた。
ひかりが思ってた以上に
びっこひいてたからだ。
膝をかばってたんだろうな…。
ひかり
「ほんとにありがとう。
いつもと逆になっちゃったね。」
虹村
「いえ、これくらい…。」
ひかり
「あと、借り物競争も…。」
虹村
「えっ?」
ひかり
「【コスプレ着てる可愛い人】に
選んでくれたから…♪」
虹村
「いや…それは…っ。」
オレは真っ赤になっていたと思う。
意識的にひかりから顔を背けた。
ひかり
「ふふ…。
このカッコしてたの3年生だけだったし、
知ってるのわたしくらいだったでしょ?
ちゃんとわかってるから大丈夫…。」
虹村
「いや…そういうわけじゃ…」
ひかり
「最後もマイク取って
わたしが話しちゃったけど…
ごめんね。
余計に目立っちゃったかな…」
虹村
「いえ…それは…助かりました。」
テンパってるオレを見て、
助け船を出してくれていたのは、
その時もわかっていた。
ほんとにひかりにはかなわない。
虹村
「あの…っ。」
ひかり
「ん?なぁに?」
虹村
「別に…その…
知ってるのが
ひかりさんしかいなかったからじゃ…
…なくて…」
ひかりはジッとオレを見上げていた。
虹村
「(だぁぁぁぁっ。…っ⁈
んな目で見るなって…。)
ひかりさんが可愛かったんだよっ。
知り合いだからじゃねぇっ。」
勢いだったと今でも思う…。
よくそんなこと言えたな…オレ。
つか、やっぱ敬語抜けてたよな。