第32章 -運動会-
ひかり、どこ行ったんだ…?
ひかりのやつ、
たまに抜けてるトコあるからなぁ…。
トイレのほうへ向かいながら、
ひかりの姿を探す。
「席、どの辺りかわかりそうですか?
一緒に探しましょうか?」
「いえ、大丈夫ですよ。
ありがとうございます。」
「園児のお姉さんですか?」
「あ…えっと…」
おっ!ひかり、あんなトコに…!
…?あいつ、誰と話してんだ?
ひかりはジャージの男と話していた。
「ひかりっ‼︎」
オレはひかりに駆け寄り、
ジャージ男からひかりを引き剥がす。
「なにしてんだよっ⁈」
「あ、修造!
さっきお手洗いの場所教えてもらって…
また会ったからお礼言ったら、
席どの辺りかわかるか心配してくれて…。」
はぁ⁈見え見えじゃねぇかっ。
オレはジャージ男を睨みつける。
「あ、お兄さんが
迎えに来てくれちゃいましたね。」
はぁ⁈”お兄さん”じゃねーよ。
ひかりよりオレのがでかいからか、
ジャージ男はオレのことを
”お兄さん”と言った。
「あ、兄じゃないんです。
……彼氏です♡」
ひかりがニッコリして言う。
「……っ⁈」
嬉しいが…恥ずかしい。
「か…彼氏ですか…⁈」
ほら…この落胆ぶり…。
ぜってぇひかりのこと狙ってやがった。