第21章 -新年度-
「修造は優しいね。」
その日の夜、
電話で今日のことを話したら、
開口一番にひかりは言った。
「なんでだよ?」
「周りのことをよく見てるから。
ベンチ入りしてる側の気持ちも、
ベンチ入りした側の気持ちも、
ベンチ入りから外れた側の気持ちも。」
「別に…。普通わかるだろ?」
「うーん?でも、やっぱり
皆が皆考えてるわけではないし…ね。
『2年中心でいく』って言われても、
修造はまず自分のことじゃなくて、
部全体のことを考えてたでしょ?」
「あぁ。だから、普通そうだろ?」
「だから、
普通そうじゃないんだって。」
ひかりは苦笑いしているようだった。
「あ〜もう。今隣にいたら、
ギュ〜ってするのになぁ。」
…っ⁈
「はぁ⁈なんで、そうなるんだよ?」
「なんで?って、なんでもー。
そんな気持ちなのーっ!」
「じゃ、次会ったとき抱きしめろよ?
ついでにキスも付けろ。」
「ん〜?どうしよっかな♪」
「なんでそこで迷うんだよ?」
「覚えてたらね♪」
たぶんひかりは忘れねぇな。
つぅか、オレが忘れねぇ。