第45章 青い夏に【花巻 貴大】
水、木、金、土、大して彼氏彼女らしいことをできないまま、残り2日となった。
水曜日からはちゃんと部活に参加して、
木曜日は練習試合がお互いに入ってて、
金曜日にはやっと補習が終わり。
土曜日は、津田が途中で熱中症気味で帰った。
それでも津田は頑張った。
なんとか花巻を落とすように、会えば挨拶をして、しばしの会話をしてみたり、部活の応援だとか愚痴を聞いたりだとか、いつもと変わらずメッセのやりとりをして。
そして、その日が来た。
あれから1週間後の火曜日だ。
部活は今日も遅くまであった。
津田は花巻を引き止めた。
「貴大、今日で1週間だよ。
どう、かな?なにか、わかった?」
笑顔を装う彼女の声は少し震えている気がした。
「……お前、まだ調子悪いのか?」
「そんなことないよ!」
すっごく元気!とファイティングポーズをとる彼女。
花巻は、それを見て少し考え、携帯を取り出した。
「まだあるじゃん。
時間。お前、大丈夫?」
「えっ、だ、大丈夫……だけど。
親は旅行行ってるし」
「ん、じゃあ行こうぜ」
「え?どこに??って、ちょっと!置いてかないでよ!!」
花巻はさっさと歩き出し、津田はその後ろをせっせと追いかけた。
津田がいくら行き先を尋ねても、花巻は「着いて来い」としか言わず、答えようとしなかった。