第45章 青い夏に【花巻 貴大】
「でもどうやって?」
花巻の手はもう、うちわをあおぐことを忘れ、いかにも好奇心の混じった目で津田を見た。
その目を見た津田は、少し言葉を飲み込んだ。
「――7日、7日間だけ
付き合ってみない?」
「は?」
「私と、7日間だけ付き合って一緒に探してみませんか……?」
彼女の目は床を彷徨い、頬は少しばかりか赤らめいている。
花巻もまた、突然のことで目が点になる。
両者の頭の中は、まっしろ。
花巻は、「お、おう………」と遅れて返事をしたのだった。
「えっと、じゃあ………
私のことは、葵って呼んで」
「……わかった
あ、えーとじゃあ俺は貴大って呼んでもらうの?」
未だ状況に慣れない花巻は、頭の中をぎこちなく回転させる。
わからない問題解くよりもわからない、と彼は思った。
「私に聞かないでよ!
呼ばれたい名前で呼んでもらいなさい!」
彼女もまた、自分の行動に驚きを隠せておらず、そのうえ花巻もその案にノッたのが何よりも驚きだった。
なので彼女も自分のことなのに他人行儀になってしまっている。
きっとこの一年で一番驚いたことはこれになるだろう、と考えていた。
「じゃあ、なんでも。」
「わかった」