第37章 「お疲れ様」をいただきます【及川 徹&岩泉 一】
岩泉ver.
あの日から、私は全てをテストに注いだ
移動中も、食事中も
事あるごとに勉強道具を常に装備していた
岩泉
「お前、あんまり気ィ張ってたらぶっ倒れるぞ?」
葵
「大丈夫」
岩泉
(大丈夫なわけねぇだろ………
目の下に隈作りやがって)
フラフラとした足取りで昼間の廊下を歩く
人だかりにぶつかりそうになる
そんな葵を岩泉はハラハラして見ていた
そして、とうとう私は倒れこんでしまった
周りが突然の出来事に悲鳴をあげる
朦朧とする意識の中、私の体を揺すりながら呼びかける人の声が響いた
岩泉
「おいっ!葵!!
おいっ!!
ったく、無茶しやがって」
岩泉は、葵を担ぎ保健室まで走った
中に入ると養護の先生が、少し目を見開いた
すぐに、葵を診てもらったがどうやら睡眠不足とのこと
今やスヤスヤと安らかに保険室のベッドの上で眠っている
養護の先生は、これから会議だからとここを後にした
2人だけの保険室
1人残して立ち去るのも何だか気が引けて、葵が眠っているベッドの近くへイスを持って行き、そこへ腰を下ろした
岩泉
「お前が静かだと、気持ち悪ィな……」
返事は当然返ってこない
余程疲れていたのだろう
グッスリ眠っているのが見て取れる
逆に無反応で生きているのかさえ不安になる
ふと、顔の横に置かれていた少し握りぎみの手に目がいく
その仕草が、幼い子のように見えた
岩泉が手を伸ばして、チョンと少し突けば
彼女の手が岩泉の手を掴んだ
岩泉
「………お前、いくつだよ……///」