第8章 悔しい涙
「烏野ぉぉぉぉおおお!」
烏野がウォームアップしているとものすごい声が観客席から聞こえてきた。
烏野たちはそちらの方を向き、一時停止した。
そこには、大きく手を振っている吉村がいる。
「頑張れぇぇぇぇぇえええ!!」
最後のほうの声はほとんど掠れていた。
精一杯応援してくれているのが烏野たちに伝わった。
烏野たちはお互い顔を見合わせ、『おぅ!!』と負けじと大声で返した。
それを聞いた吉村は微笑んだ。
*****
試合は城西がリードしている。
1セット目の烏野7・城西12の時。
及川のサーブ。
及川が次に狙った相手は田中だ。
田中はサーブレシーブをミスした。
2度目はミスをしなかった。
しかし、ダイレクトで打ち返された。
そのあとのサーブレシーブもミスはしなかったが、そのあとのアタックをドシャットされた。
吉村はその様子を見ている。
(大丈夫....田中は大丈夫)
思ったとおり、田中は大丈夫だった。
ちゃんと切り替えた。