第8章 悔しい涙
「折角だしさ、みんなで帰ろう」
吉村がいきなりそんなことを言い出した。
みんなは頷き合い、10人でぞろぞろと帰ることにした。
帰り道、インターハイ予選の話をしている田中。
それを横で聞いている吉村。
(インターハイ予選か....応援行こうかな)
*****
6月2日
全国高等学校総合体育大会
バレーボール競技
宮城県予選
1日目
吉村は仙台市体育館に来ている。
もう試合は始まっているようで、外まで歓声が聞こえてくる。
(あちゃー....もう始まってるよぉ~....)
吉村は2階からコートを見下ろす。
得点板の数字は2セット目で常波12・烏野21だった。
そのまま椅子にも座らず立って観戦していた。
あっという間に試合は終わり、烏野の勝利。
烏野がコートから出ていくのが見えたから吉村も急いで階段を駆け下っていく。
彼氏である田中の背中が見えたから、ものすごいスピードで駆け寄っていく。
「田中ーーー!」