第8章 悔しい涙
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田中と吉村は校舎を出、正門をくぐり、帰路に着く。
時刻は20時を回ったところ。
「いやー、美颯の教え方上手すぎだろ」
田中はあまりにも教え方が上手すぎる吉村の頭をくしゃくしゃと撫でる。
「なんたって、この俺様が理解できたんだし!ガハハハハハ」
「ありがとう。でも、田中だって飲み込み早い方なんだから」
「お!そうなのか?」
「そうだよ。だから、続ければもっと勉強できるようになるよ」
ニコッと笑う顔がなんとも可愛いらしい。
その笑みをみた田中はほんのわずかに頬を染める。
「ところでさ、」
吉村が話題を変えてきた。
「後ろの人たちはなに?」
「え?」
「たぶん、図書室のところからずっと私らを見てると思うんだけど....。次の角曲がってみよう」
直ぐ前にある角を田中たちは曲がり、直ぐに立ち止まり、振り返る。
すると、男の子たちが一斉に飛び出してきた。
「「「あ....」」」
8人の声がハモる。
田中の顔がみるみるうちに変わる。
「な!なにしてんすか!」
男の子たちは口々に、あーうーこれはだなと小声で言っているのが聞こえる。
「すまん!」
澤村がいきなり声を上げて謝る。
「田中の彼女がどんな人かどうしても気になってつい....」
本当に申し訳なさそうにしている澤村に田中が肩を落とす。