• テキストサイズ

【ハイキュー】もしも〜だったら

第6章 本を読む人


俺たちは雪降る中を傘もささずに手を繋いで歩いている。

「ここだよ」

俺は立ち止まり、目の前の建物を見た。
そこは小さな寺院だ。
吉村はわからないという風にはてなマークを頭に浮かべる。
俺は微笑み、手を引いて中に進んでいく。
寺院の裏には小さな墓地があった。

「墓地?」

俺は頷いた。

「ここはな、共同墓地なんだ。引き取り手がいない人や孤児たちが葬られている墓地なんだ」

俺は吉村の手を一層強く握る。
俺はどんどん奥に進んでいく。
1番奥の真ん中の墓の前で歩みを止めた。
墓石に雪が積もっていてなんて書いてあるかわからない。
俺はその雪を払い除ける。

「え........」

吉村がその文字をみて声を漏らす。
墓石には吉村美颯と彫られていた。

「どう、して?」

「ずっと調べていたんだ。そしたら吉村が孤児であることがわかって。だったらお墓は共同墓地にあるんじゃないかと思って探してた」

俺は吉村と向き合い、

「吉村さ。俺といれたらそれでいいって言ってただろ?俺もそれでもいいと思ったことはあったの」

「じゃぁどうして?」

「でも、やっぱりダメだと思った。俺は吉村が好きだし、ずっと側にいてほしいって思った。だけどダメなんだよ。死者はちゃんと成仏しなきゃダメなんだって」

「東峰くん........」
/ 79ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp