第6章 本を読む人
............足枷に繋がれた吉村の眩しいほどの白い足があった。
足枷は鎖に繋がれ、階段の手すりのところに繋がっていた。
今までこんな物はなかった。
「驚いたでしょ?普段はね、見えないようにしてるの」
吉村はどこか哀しそうな顔をする。
足枷は左足首だけ。
右足は自由だ。
「え、なんで?」
俺はその鎖に触れる。
すると、ジャラとまたなった。
鎖は意外と重たい。
「私ね、気付いたらここにいたの。ずっとここにいる」
吉村は本を閉じた。
「貴方が初めてなの。私を見つけてくれた人。私は幾つもの人をここで見てきた。私に気付く人はいなかった。でも、東峰くんは違った。私に気付いてくれた。初めは凄く驚いたの。でも、嬉しかった。もしかしたら、この人なら私を連れ出してくれると思ったの。お願い。私を連れ出して」
「え....でも、どこに?」
「わからない....」
そこで、チャイムが鳴った。
5限目の終わりを知らせるチャイム。
「吉村。俺はその願い、叶えてやりたい。でも、今すぐにはできない」
「わかった。待ってる」
吉村はニコッと笑った。