第1章 当って砕けろ!!
私は不思議に思い、声を掛けてみた。
「菅原?こんなとこでなにやってんの?」
菅原の目は見開かれ、キラキラと輝いている。
口も目と同じような開け方をしている。
まるで、小さな子供が欲しかったおもちゃを買ってもらった時の喜んだ顔に似ている。
「....っかい」
「え?」
「もう1回!もう1回して!」
え?
なに、その発言。
菅原、弓道に興味あったの?
「まぁ、いいけど」
私は矢を取りに、一旦射場を出て、矢を2本持つ。
ゆうをし、足踏み、矢を弓に通し、胴造りをする。
つがえて、一旦深呼吸。
物見をしっかりとし、そのまま静かに打ち起こし。
第三、引き分け、そして会。
離れをした矢はさっきと同じく的に的中した。
ゆだおしをし、足を閉じる。
もう一本は小指と薬指に挟まれているまま。