第1章 雨降る季節【黒バス:黄瀬涼太】
「おかえり。架那、そのパーカーどうしたんだ?」
「黄瀬くんが貸してくれたの。」
「そうか。」
それからお兄ちゃんは飽きずに今日のストバスで起こった出来事を話してくれた。
そうして月日が経ち、誠凜高校との練習試合が組まれた。私と黄瀬くんは偵察も兼ねて誠凜を見に行く事になった。誠凜は新設校なだけあって、校舎が綺麗だった。そして、黄瀬くんが女の子達に絡まれている間に体育館に向かった。
はずなんだけど、体育館らしき建物は見えてこない。さっきとは反対方向に向かったのに進んでも進んでも見えてくるのは木だけだった。少し前にも、海常でこんな目にあったことがある。あのときは、偶然通りかかったお兄ちゃんと森山さんのおかげで助かったけど、今日はいない。どうしよう、と途方に暮れていると、たまたま人が通った。
「あ、あの!体育館へはどうやって行けばいいですか?」
「私も体育館に用があるので、一緒に行きましょう。」
「はい。ありがとうございます。」
私が話しかけた人は相田リコさんといって男子バスケ部のカントクらしい。