第1章 雨降る季節【黒バス:黄瀬涼太】
凪沙は私をどうしたいんだろう。大体、黄瀬くんに対しての気持ちがこ、恋かわかった訳じゃないし。確かに、黄瀬くんと話せるようになったのは嬉しいけど、恋とは違う。そう思う。時間は無情に過ぎていき、空は夕暮れに染まっていた。お兄ちゃんが『ただいまー。』といつも通り帰ってきて、それを私と黄瀬くんで迎えると、何故か黄瀬くんが蹴られていた。
「なんだよ、勉強会だったのか。だったら、俺が教えてやったのに。」
「笠松センパイはいいんス。間違える度に蹴りそうッスもん。」
「おう。よくわかってんじゃねぇか。黄瀬」
「まぁまぁ、黄瀬くんもそろそろ駅行かないと。」
「そう・・・ッスね。じゃあ、また明日ッス。」
「私、途中まで送ってくる!行ってきます!」
「気をつけろよ、架那。」
お兄ちゃんの優しさに溢れた声が聞こえた。黄瀬くんと並んで歩く。やっぱり歩幅は合わなくて、私は合わせるのに精一杯だけど黄瀬くんはそんな私に気付いて少し歩く速度を遅くしてくれた。
「寒っ!」
家から薄着で出てきた私は案の定、寒くなった。私を見て、黄瀬くんは笑った。
「風邪、ひくッスよ。そんなんじゃ。ほら。」
「え、いいよ!悪いし。黄瀬くんは寒くないの?」
「俺、暑がりッスから。」
「でも・・・。」
黄瀬くんだって寒いに決まってる。それに服を借りるわけにはいかない。
「それに、困るんスよ。マネージャーが休むと。それに、架那っち心配だしね!だから、今は着ててほしいッス。」
「・・・。わかった。でもそれは、黄瀬くんも同じだから。気をつけてね!」
駅で黄瀬くんと別れて、家に帰る。黄瀬くんが貸してくれたパーカーは黄瀬くんの匂いがした。明るくて暖かい匂い。まるで太陽みたいな、そんな匂い。近所の公園まで来ると、お兄ちゃんが待ってた。