第1章 雨降る季節【黒バス:黄瀬涼太】
それからマジバでは、お兄ちゃんがいきなり話題を振ってきた。
「黄瀬と架那は同じクラスなんだよな?」
「そうだよ/そうっすよ。」
「教室で話したりとかしないのか?」
「まぁ。教室だと話しかけにくいし。」
「俺は話しかけてきて欲しいんスけどね。架那っち、いつもお昼一緒に食べようと思ったら教室にいないんスもん。話しかける暇もないッス。」
「架那は黄瀬から逃げてんのか?」
「逃げてるつもりはない。ただ、黄瀬くんのタイミングが悪いだけ。私はマイペースに動いてるだけ。」
「黄瀬、話しかけたとして何話すんだ?架那はあんま話題がないと思うんだが。」
「何ってそりゃ、笠松センパイの弱みとか、架那っちの趣味とか生い立ちとか、いろいろッスかね。架那っち、頭いいから勉強の仕方とか聞いたり・・・。」
「黄瀬くんらしいね。」
私の生い立ちを聞いたって何も面白くないのに。黄瀬くんて変な人だな。でも、思ってたよりも話せる。もっと堅い印象だったからちゃんと話せるか不安だったけど、よかった。
黄瀬くんは意外と真面目で、
『明日、学校だからもうそろそろ帰りましょ。』
とかいって、駅の方に走っていった。もう少し話していたかった。