第1章 雨降る季節【黒バス:黄瀬涼太】
その後、私が意識を取り戻したのは二日後、病院で目が覚めた。疲労による、軽い栄養失調らしい私が目を覚ました時、周りにはお兄ちゃん、森山先輩、小堀先輩、黄瀬くんがいた。でも、頭が回らなくて何が起こってるのかわからなかった。
「練習試合は?」
気付くと私は口に出していた。
「負けたよ。でも、楽しかった。架那、気分は悪くないか。」
「うん。大丈夫。」
「大事をとって明日までは入院だから、ゆっくり休めよ。俺達は帰るから。」
「気を付けてね。」
「おまえもな。」
お兄ちゃん達が病室から出ていく。黄瀬くんがこっちを見てた気がするけど、あまり気にしないようにした。
翌日、私は退院した。練習試合、負けちゃったんだ。見たかったな。みんなのプレーしてるとこ。ほんと、ついてない。
ピンポーン
誰か来たので玄関を開けると、黄瀬くんだった。
「ちょっといいッスか?」
「うん。」
黄瀬くんに家に入ってもらうと、黄瀬くんが口を開いた。
「単刀直入に言うけど、俺、架那っちのことが好きッス!」
突然のカミングアウトに私はまた倒れそうになった。
「練習試合の前の日、告白しようって決めて、でも架那っちは倒れちゃって結局言えなかったッスけど。」
「あの、その、私、黄瀬くんに嫌われてると思ってて、練習試合の前日に黄瀬くんが女の子を振ってるとこ見ちゃって、それであの公園にいたの。」
「じゃあ、俺ら両想いッスね。」
「…よく恥ずかしいセリフをさらっと言えるね。」
「だって、ほんとのことッスから。」
そういって、黄瀬くんが私に抱きつく。時々、耳にかかる黄瀬くんの吐息がくすぐったい。
「…/////離れてよ。」
「嫌ッス。やっと捕まえたんスから。」
そういうと、黄瀬くんは私にキスをした。
END